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突然だが、サイバー都市の帝王、ギガは気まぐれである。
 
その気まぐれのせいで、都市の人々は様々なものを失う。
失うものは自由だったり、人権だったり、あるいは命だったりする。
彼にとってはほんの気まぐれでも

市民からしたらたまったものではない。

ギガの気まぐれは今に始まったことではない。
その最たるものが公開毛狩り処刑ゲームである。
この都市の市民であれば誰でも知っている通り
この都市の最大の名物であり、最大の不幸である。

これは帝王の気まぐれに巻き込まれた、

とある哀れな真拳使いの物語である。 

それはさておき―― 
 
最近、ギガには悩みがあった。囚人が弱すぎるのである。
もちろん、公開処刑は最終的に処刑人に囚人が処刑されるという

シナリオが覆ることはない。 

だが、たまには―― 
たまには、処刑人を窮地に陥れる囚人は現れないものか。
そうでなければ賭けというものはつまらない。
ギガは考えた。そうして、思いついたのが。 


「逃走ゲーム、ですか?」 
「そう、新しいゲームじゃん」 
「して、そのルールとは」 
 
ひとつ。囚人はこの建物内なら自由に逃げ回ることができる。 
ふたつ。ここから脱出することができればそのまま解放となる。 
みっつ。鬼に見つかったら戦闘が発生する。 
よっつ。鬼に勝利すればそのまま逃走続行となる。 
いつつ。制限時間内に生き残れば、無罪釈放となる。 

 


むっつ。もし負ければ―― 

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